ヨガでリラックスして眠りにつく夜の休息習慣

夜になっても頭の中で仕事の反省や明日への不安が巡り、なかなか眠りにつけない人がおられます。

そして体が休まらないまま朝を迎え、疲れが抜けていないと、日中のパフォーマンスにも影響します。

これを少しでも和らげるためには、眠る前にリラックスすることが大切です。

そこで今回は、ヨガでリラックスする方法や、寝る前の5分でできるポーズと呼吸法、自宅を癒しの空間に変える環境づくりまで、今夜から実践できる休息の習慣をご紹介します。

岡村真奈美

Director & Supervisor

岡村 真奈美
全米ヨガアライアンス RYT200 / FTPマットピラティスインストラクター

ヨガでリラックスすると心身が整う理由

「ヨガでリラックスする」という感覚は、雰囲気や思い込みによるものではなく、自律神経の働きに基づいた体の反応です。

ここでは、ヨガが休息の質を変える仕組みをご紹介します。

リラックスヨガとは何か

リラックスヨガとは、呼吸とポーズを使って、意図的に脳と体を休息モードへ切り替えるヨガのスタイルです。

ヨガと聞くと、汗を流しながら難易度の高いポーズに挑むパワーヨガをイメージするかもしれませんが、一日の終わりに必要なのは、それとは逆のアプローチです。

リラックスヨガは、ポーズを完璧な形に近づけることを目的にしていません。

今の自分にとって心地よい場所を見つけ、そこで何もしない時間を過ごすことを大切にします。

そのため、体が硬い人や運動が苦手な人でも取り組みやすく、初心者でも挫折しにくいのが特徴です。

同じ静的な動きを伴うエクササイズにピラティスがありますが、体幹を鍛える動的なトレーニング要素が強く、リラックスヨガとは目的が異なります。

違いについて詳しくは『ヨガとピラティスの違いを目的別に徹底比較』もご覧ください。

自律神経を整え副交感神経を優位にする

体には、活動時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経があります。

日中は交感神経、夜の安静時には副交感神経というように、2つの神経が交互に優位になることでバランスを保っています。

ところが、夜更かしなどで生活リズムが乱れたり、ストレスがかかったりすると、このバランスはすぐに崩れてしまうのです。

特にスマホは光量が強く、交感神経を優位にする働きがあります。

そのため、日中フル回転で働いたあと、寝る直前までスマホを見続けていると、自律神経が活動側で固まったままになってしまうのです。

結果として、体が休まらず、「休みたいのに休めない」「疲れが取れない」と感じる原因になります。

ヨガはこの固まったバランスを、呼吸と脱力の力で休息側へと導いてくれるのです。

ゆっくりとした深い呼吸は、自律神経の働きに直接作用し、体を休息モードへと促します。

また、ポーズによって筋肉の緊張がほどけると、そこに通う神経の緊張も連動して和らぎ、血液が全身の末端までスムーズに流れ始めます。

このように呼吸とポーズを組み合わせることで、自分の意志でリラックスのスイッチを入れられるようになります。

ストレス解消と睡眠の質を高める

リラックスヨガを取り入れたら、翌朝の目覚めの感覚が変わった、という声が多く聞かれます。

これは、体内のホルモンバランスに働きかけるからです。

深い呼吸を伴うヨガは、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の値を落ち着かせ、代わりに安心感をもたらす「セロトニン」の分泌を促す効果が期待できます。

そのため、寝る前にヨガを行うことで脳の興奮状態が落ち着き、深い眠りへ移りやすくなるのです。

そして睡眠の質が高まれば、寝ている間に成長ホルモンの分泌が促され、蓄積した疲労の回復や細胞の修復も効率よく進みやすくなります。

つまり、寝る前の5分のヨガは、翌日の集中力や体のコンディションにも影響を及ぼす可能性があるのです。

寝る前の5分を休息に変える習慣

忙しい毎日の中で、ヨガのためにまとまった時間を確保するのは、ハードルが高いと感じるかもしれません。

ここでは、寝る前のわずかな時間で休息の質を高める習慣をご紹介します。

たった5分で心身をゆるめる

自律神経を切り替えるのに重要なのは時間の長さではなく、どれだけ副交感神経を刺激できるかです。

一定のリズムで深い呼吸を繰り返し、特定のポーズで筋肉の緊張をほどくと、体は数分でも休息モードへのサインとして受け取ります。

これにより脳が落ち着いた状態に近づき、入眠までの時間が短縮され、睡眠の質が深まります。

長時間スマホを眺めて過ごす5分を、自分を整える5分に置き換えるだけでも、慢性的な疲労から抜け出すきっかけになるでしょう。

お風呂上がりから就寝までの理想的なタイミング

リラックスヨガに適したタイミングは、お風呂上がりから寝るまでの30分〜1時間の間です。

入浴で一度上がった深部体温が、ゆるやかに下がり始めるこの時間帯にヨガを行うと、自然な眠気につながりやすくなります。

体が温まっているぶん筋肉も伸びやすく、無理なくポーズを深められるのも、この時間がすすめられる理由です。

反対に、寝る直前だとポーズによっては血流が良くなりすぎて、目が冴えることもあります。

理想的な流れは、お風呂で体を温め、パジャマに着替えたリラックスした状態で、マットやラグの上に座ることです。

部屋の照明を少し落とし、すべてを忘れて自分だけの時間に入ることを習慣にすると、深い眠りにつきやすくなっていきます。

布団の上でも行える寝落ちヨガの魅力

寝る前のヨガの中でも人気が高いのが、寝落ちヨガと呼ばれるスタイルです。

なかでもシャバーサナ(あおむけになり、全身の力を抜くポーズ)をベースにした寝落ちヨガは、手足を楽な幅に開いて仰向けになるだけで始められます。

形を意識するよりも、意識的に全身の力を抜いていくことに集中すると、リラックスした状態に近づきやすくなります。

布団の上で行う場合は、マットの上よりも体が沈み込みやすいため、無理に姿勢を保とうとせず、力を抜くことを優先してください。

リラックス効果を得るための呼吸法とおすすめポーズ

リラックスヨガは、呼吸を正しくコントロールできていれば、ポーズの形が多少崩れていても問題ありません。

ここでは、脳の興奮を鎮め、体の強張りを内側からほどくポーズと呼吸のコツをご紹介します。

脳の興奮を鎮める腹式呼吸のコツ

リラックスヨガの土台となるのは、お腹をゆったりと動かす腹式呼吸です。

人はストレスを感じると、無意識にお腹に力が入り、胸だけで呼吸する「胸式呼吸」になりやすく、これが交感神経を刺激します。

この状態のままでは緊張感が高まりやすいため、息を大きく吐いて力を抜くことから始めましょう。

腹式呼吸のコツは、鼻から細く長く、体の中の空気をすべて出し切るイメージで吐き出すことです。

吸う息の2倍の時間をかけて吐くことを意識し、4秒で吸ったら8秒かけて吐くゆったりとしたリズムが、自律神経を休息モードへ切り替える助けになります。

途中で雑念が浮かんできても無理に消そうとせず、自分の呼吸の音やお腹が上下する感覚に意識を戻してください。

仰向けで骨盤をゆるめる休息ポーズ3選

寝る前のヨガのポーズで優先したいのは、骨盤周りをゆるめることです。

最初は、仰向けで足の裏同士を合わせ、膝を左右に開く、がっせきのポーズから紹介します。

がっせきのポーズ

やり方

  1. 足裏同士を合わせて座ります。
  2. お尻を前に転がすようにして骨盤を立てます。
  3. 両手で足先をつかみ、足を体に引き寄せる。
  4. 両手で足先を持ち、息を吐きながら足の付け根から体を前に倒します。
  5. 倒しきったところで、背中は緩やかに丸まったままで構いません。
  6. お尻を後ろに突き出すイメージで、心地よいところまで倒します。

股関節が開きにくい、または痛みを感じる場合は、太ももの下に低い高さのブロックを置くのがおすすめです。

ワニのポーズ

やり方

  1. 床に仰向けに寝ます。
  2. 左足は伸ばしたまま、右足の膝を曲げて両手で抱え、息を吸いながら胸に引き寄せます。
  3. 息を吐きながら右足を左側へ倒しツイストします。
  4. 右手は肩の高さでまっすぐ床に伸ばし、左手は右膝に添えます。
  5. 5呼吸ほどキープしたら、息を吸いながら体を仰向けに戻し、吐く息で右膝を伸ばします。

ねじっている間は、倒している足と反対側の肩甲骨が床につくように意識すると、呼吸が深まりやすくなります。

赤ちゃんのポーズ

やり方

  1. 仰向けになり、両膝を立てます。
  2. 両足を床から離し、膝を胸へ引き寄せ、足裏を天井に向けます。
  3. 両手で足の裏の外側を持ち、膝を外側へ開き、股関節を開きます。
  4. 手で足を引き寄せ、脇の下に向かって膝を近づけます。
  5. ゆっくりと足を閉じ、手をほどいて床に下ろします。

足裏をつかむのが苦しい場合は、すねを両手で抱えて膝を開くのがおすすめです。

これらのポーズは、布団の上で行えるので、形にこだわらず、一番気持ちいいと感じる角度を探ってみてください。

呼吸とポーズを連動させ相乗効果を高める

ポーズと呼吸をバラバラに行うのではなく、ひとつの流れとして繋げることで、リラックス効果は大きくなります。

基本は吸う息で胸やお腹に空間を広げ、吐く息で力みを手放すイメージを持つことです。

例えば、両腕を広げるときや背筋を伸ばすときは吸い、前屈やねじりで体を委ねるときは吐くと、動きと呼吸が調和しやすくなります。

また、ポーズに入った後も呼吸を止めず、吐くたびに肩やあご・眉間の力を抜く意識を持つと、より深いリラックスにつながります。

自宅を癒しの空間にする環境づくり

ヨガでリラックスするには、環境も重要です。

ここでは、自宅のリビングや寝室を癒しの空間に変える環境づくりのコツをご紹介します。

脳を休息モードへ切り替える音楽を選ぶ

耳から入る情報は、自律神経に直接働きかけます。

そのためリラックスヨガを行う際は、歌詞のない、ゆったりとしたリズムの音楽を選んでみましょう。

波の音や静かな雨音、鳥のさえずりといった自然音は、聞いているだけで気持ちが落ち着きやすい音として知られています。

この他にも、ピアノやアンビエント、ヒーリング系のBGMなど、一定のリズムで流れるものもおすすめです。

音量は、聞こえるか聞こえないかくらいの微かな音にするのがコツです。

もしスマホで音楽を流すなら、通知は必ずオフにして、外部からの雑音を遮断しましょう。

こうした環境づくりは、たった5分のヨガでも、日常から切り離された特別な時間の中に自分を置くことにつながります。

プロップスを取り入れ身体をあずける

もう一つのポイントは、プロップス(補助道具)です。

ボルスター(ヨガ用の長枕)やブロック、クッションなどを使って、体と床の間の隙間を埋めることを意識しましょう。

体の一部が宙に浮いていると、筋肉は無意識にそこを支えようと力みますが、道具に支えられることで力を抜きやすくなります。

具体的には、がっせきのポーズで膝の下にクッションを入れる、仰向けで膝下に丸めたタオルを置くといった工夫だけでも、力みが和らぎます。

また、直接肌に触れるヨガマットやラグ、ソックスの質感も、心地よさを左右する要素です。

以下に、プロップスごとの使い方とメリットをまとめましたのでご覧ください。

道具 使い方 メリット
ヨガマット 床の上で基本姿勢を安定させる 冷えや痛みを軽減しやすい
クッション 膝や腰の下に入れる 関節の負担を減らせる
バスタオル 丸めて首・膝下・骨盤下に使う 家にあるもので代用しやすい
ボルスター 背中や脚を預ける 深い休息姿勢を作りやすい

腰や肩のこりが気になる方は、プロップスを使ったセルフケアについてまとめた記事もあわせてご覧ください。

詳しくは『ヨガで腰痛・肩こりをセルフケアする方法~プロップス活用の基本と選び方』もご覧ください。

照明とアロマで五感を整える

最後の仕上げとして、視覚と嗅覚を整えましょう。

夜のヨガでは、部屋の主照明を消し、間接照明やキャンドルのような、暖色系の低い光にするのが理想です。

強い光は交感神経を刺激しやすいため、暗めの暖色光に切り替えることで、自然な眠気につながります。

また目元をアイピローで覆い、視覚情報を遮断するのも、脳を休めるひとつの方法です。

そこに、ラベンダー、オレンジスイート、ベルガモット、サンダルウッドといった、鎮静作用があるとされるアロマの香りを添えることで、より心地よい時間になります。

お気に入りの香りに包まれ、柔らかな光の中で、上質なラグの感触を味わう環境が整えば、自宅が癒しの空間へと近づいていきます。

自分のペースで続けるためにできること

ヨガは、短い時間でも定期的に行うことで効果を実感しやすくなります。

ここでは、多忙な毎日でも無理なく続けるためのヒントをご紹介します。

通いやすいスタジオやレッスンを選ぶ

自宅で一人で続けるのが難しいと感じたら、スタジオに通うのとオンラインでのレッスンのどちらが自分に合うかを考えてみましょう。

以下に、それぞれの特徴をまとめましたのでご覧ください。

学び方 向いている人 注目したいポイント
スタジオ 講師のガイドで集中したい人 声のトーンや照明、沈黙の大切にし方
オンライン 移動時間を減らしたい人 ライブ配信とアーカイブの併用しやすさ

スタジオを選ぶ場合は、講師がポーズの形を整えることよりも、呼吸が深まっているか、余計な力みが抜けているかに意識を向けてくれるかを確認しましょう。

オンラインの場合は、疲れている日は5分動画、余裕がある日は20分レッスンというように使い分けると、無理なく続けられます。

画面を見続けなくても音声だけで進められる講師のレッスンは、夜のリラックス習慣に向いています。

頑張らない継続のヒント

ガを習慣にするには、完璧主義を手放すことが大切です。

毎日30分やろうと決めると、忙しい日に一度休んだだけで挫折感に繋がり、マットを広げることも億劫になるかもしれません。

疲れている日は「1分だけラグの上で深呼吸する」など、低い目標を設定するほうが、達成感を得やすく継続につながります。

また「歯みがきの後に3呼吸だけ」「お風呂上がりに1ポーズだけ」「布団に入る前に脚を壁に上げる」など、すでにある行動とセットにすると継続しやすくなります。

もうひとつの工夫は、ヨガマットやラグを出しっぱなしにすることです。

インテリアに馴染む上質な素材や色のラグを選び、最初からリビングや寝室に敷いておけば、すぐにリラックスヨガを開始できます。

体調に合わせて無理なく取り入れる

リラックスヨガは体への負担が少ない分、体調が優れない日でも取り入れやすいです。

とはいえ、生理中や疲労が強い日は、体をひねる動きや長く同じ姿勢を保つポーズがつらく感じることもあります。

そうした日は、無理にポーズを完成させようとせず、呼吸だけを行う、あるいは楽な姿勢で横になるだけでも構いません。

体の感覚は日によって変わるため、痛みや強い違和感があるときは中断し、心地よさを優先することが習慣を長く続けるコツです。

不調が続く場合や持病がある場合は、自己判断で無理をせず、医師や専門家に相談したうえで取り入れるようにしましょう。

今夜から始める自分をいたわる休息時間

「最近、深く眠れていない」と感じるなら、それは体が休息を求めているサインかもしれません。

この記事で解説した通り、お気に入りのラグの上で一日の終わりにその日の重荷を呼吸とともに手放すことが、自律神経を整え、翌朝の目覚めを軽くすることにつながります。

プロップスは、そうした癒しの時間を支え、休息の質を底上げしてくれるパートナーです。

肌に触れる質感や、体をあずけたときの安心感にこだわったアイテムを選べば、いつでも自分に戻れる場所を作れます。

今夜から、頑張ることを少し休んで、自分をいたわる時間を始めてみませんか。

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岡村真奈美
岡村真奈美
監修

全米ヨガアライアンス RYT200 / FTPマットピラティスインストラクター
FRPファンクショナルローラーピラティス / ブリスベイビーマタニティーヨガインストラクター

「年齢を理由に諦めない、いつまでも自分の脚で歩ける体づくり」

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