ヨガとピラティスの違いを目的別に徹底比較

「ヨガとピラティスってどう違うの?」と感じたことがある方は少なくありません。
どちらもマットの上で似たポーズをとり、道具もほとんど使わずに始められるため、目的や体へのアプローチの違いが分かりにくいからです。
この記事では、目的・呼吸法・動きという3つの観点から両者の違いをご紹介し、ご自身の目的に合う練習がどちらかを知っていただけるように解説します。

Director & Supervisor
全米ヨガアライアンス RYT200 / FTPマットピラティスインストラクター
ヨガとピラティスの違いを比較

ヨガとピラティスは似ているように見えても、目的や体へのアプローチが大きく異なります。
ここでは、目的・呼吸法・動きという3つの切り口から、両者の違いをご紹介します。
ヨガとピラティスの目的
ヨガは心身の調和を目指すもので、ピラティスは身体機能の改善を目指すトレーニングです。
ヨガはもともと瞑想や呼吸を通じて心を整えることを目的に生まれ、ポーズはその手段の一つとして発展してきました。
一方でピラティスは、解剖学に基づいて骨格や筋肉の使い方を整えることを目的に考案されたエクササイズです。
同じ呼吸でも、ヨガは心を落ち着かせるための手段として使いますが、ピラティスは体幹を安定させるための技術として使います。
姿勢を整えるポーズについても、ヨガでは心を静める過程の一部として扱われますが、ピラティスでは骨格を整った位置へ導く動作として扱われます。
この違いはレッスンの雰囲気にも表れやすく、ヨガのレッスンでは照明を落として静かな音楽を流すなど、心を落ち着けやすい環境が整えられることが多いです。
一方でピラティスのレッスンでは、インストラクターが骨盤や肩甲骨の位置を細かく指示しながら進めることがあります。
このように、心を起点にするか身体機能を起点にするかという点で、ヨガとピラティスの目的は異なります。
呼吸法
ヨガは腹式呼吸(お腹を膨らませたりへこませたりする呼吸法)を基本とし、ピラティスは胸式呼吸(肋骨を左右に広げるように行う呼吸法)を基本とします。
ヨガの腹式呼吸は、鼻から吸って鼻から吐きながらお腹を大きく動かす呼吸法で、副交感神経(休息時に優位になる神経)が優位になりやすく、心身がリラックスに向かいやすいです。
一方でピラティスの胸式呼吸は、お腹を軽く引き締めたまま肋骨を広げるように吸う呼吸法で、体幹を安定させながら筋肉を働かせやすくします。
同じ深呼吸という言葉でも、ヨガでは力を抜くための深呼吸を指しますが、ピラティスでは体幹に力を入れたまま行う深呼吸を指すため、体で感じる感覚は異なるのです。
呼吸のペースにも違いがあります。
ヨガは吸う長さと吐く長さをそろえながらゆっくり呼吸を続けますが、ピラティスは動作のタイミングに合わせて呼吸を使うため、呼吸のリズムが動きよりも速くなる場面があります。
初めて取り組む場合は呼吸の合わせ方に戸惑うこともありますが、動作を繰り返すうちに体が覚えていくでしょう。
静止するヨガと反復するピラティス
ヨガの動きは、一つのポーズを完成させたあと一定時間静止して呼吸を深める、ストレッチに近い性質を持ちます。
ポーズを一定時間キープすることで柔軟性や体を支える力も必要になるため、全身運動をしている感覚になるでしょう。
一方でピラティスは、止まることなく流れるように動作を繰り返す、トレーニングに近い性質を持ちます。
なかでも腹部や骨盤まわり、背骨を支える筋肉を狙って動かすため、動き自体は小さくてもインナーマッスル(体幹の深層にある筋肉)に刺激が入りやすいのです。
運動後の感覚にも違いが出やすいです。
ヨガは筋肉を伸ばす動きが中心のため翌日に心地よい伸び感が残りやすい一方、ピラティスは同じ筋肉を繰り返し使うため筋肉痛に近い感覚になることがあります。
具体的には、ヨガの太陽礼拝(複数のポーズを呼吸に合わせてつなげる一連の動き)でも、一つひとつのポーズでいったん静止して呼吸を整える場面があります。
太陽礼拝の動作については下記からご覧いただけます。※オーエイチラボのインスタグラムに遷移します。
ピラティスの代表的な動作であるハンドレッド(仰向けで両脚を持ち上げ、腕を上下に動かしながら呼吸をカウントする動き)は、動きを止めずに繰り返すことで体幹を鍛えます。
柔軟性を高めたい場合はヨガの静止する動き、引き締めや姿勢の土台づくりをしたい場合はピラティスの反復する動きが、それぞれ向いています。
歴史と大切にする価値観から見る違い

ヨガとピラティスは、生まれた時代も国も異なります。
ここでは、それぞれの成り立ちと、練習を通じて大切にされてきた価値観の違いをご紹介します。
ヨガの歴史と大切にする価値観
ヨガの起源は、今から4500年ほど前の古代インドにまで遡ると言われています。
もともとは宗教的な修行や瞑想の一環として生まれ、心と体を統合して悟りを開くことを目指す実践でした。
その後インドから欧米へ伝わる過程で、健康法としての側面が広がり、現在では宗教的な意味合いを離れて日常のセルフケアとして親しまれています。
現代のヨガもその流れをくんでおり、ポーズをとって体を動かすことだけでなく、深い呼吸を通じて自分自身と向き合う時間を大切にする価値観が根づいています。
例えば、ポーズの完成度よりも呼吸が続いているかを重視するインストラクターが多いのも、この歴史的な背景が理由です。
長い年月をかけて心と体をつなげる手段として発展してきたことが、ヨガの練習に落ち着いた雰囲気をもたらしています。
ピラティスの歴史と大切にする価値観
ピラティスは、20世紀初頭にドイツ人のジョセフ・ピラティス氏が考案したトレーニングメソッドです。
第一次世界大戦中にイギリスで捕虜として収容された際、ベッドのスプリングを利用して負傷者向けの運動器具を考案したことがきっかけになったと伝えられています。
その後アメリカに渡り、体操やボクシングなど複数の分野を融合させながら、解剖学に基づいて体を機能的に動かす方法として体系化していきました。
ヨガが精神性を重視するのに対し、ピラティスは骨格や筋肉の使い方を整えることに重点を置いて発展してきた点が特徴です。
背骨・骨盤・肩甲骨などの位置関係を整えながら、インナーマッスル(体幹の深層にある筋肉)を使って動くことを学ぶ点も、リハビリ由来ならではの価値観だといえます。
見た目以上に体幹を使うため、姿勢改善やボディラインづくりに直結しやすく、デスクワークで崩れた姿勢を整えたい方とも相性が良いトレーニングです。
マットとマシンを使う違い
ヨガはマットが一枚あればどこでも行え、自分の体重を負荷として使います。
ブロック・ベルト・ボルスターなどのプロップス(ポーズを補助する道具)を使うこともありますが、ポーズを安全に行うためのサポートが中心です。
一方でピラティスは、マット上で行うマットピラティスのほかに、専用の大型器具を使うマシンピラティスもあります。
代表的な器具にはリフォーマーやキャデラックなどがあり、スプリングの張力を使って負荷を細かく調整できる点が特徴です。
マシンを使うことで、特定の筋肉をより正確に動かしたり、自重だけでは難しい可動域までサポートしたりしやすくなります。
自宅で手軽に始めたい場合はヨガかマットピラティス、姿勢の矯正を集中的に行いたい場合はマシンピラティスを選べるでしょう。
スタジオを選ぶ際は、床の上でのレッスンを重視するか、専用の器具を使って集中的に体を動かしたいかを基準にすると、自分に合う練習を見つけやすくなります。
目的別に見る向き不向きと選び方

ヨガとピラティスのどちらが自分に合うのか、目的が定まらないと決めにくいものです。
ここでは、心を落ち着けたい場合と体を整えたい場合、そして整体との違いという3つの切り口から選び方をご紹介します。
心を落ち着けたい人に向くヨガ
日々の仕事や家事でストレスが多い方、眠りが浅い方には、ヨガが向いています。
ヨガは呼吸に意識を向けながら体の緊張をほぐす時間を作るため、自律神経が整いやすくなります。
なかでもリラックスヨガや陰ヨガは、ポーズを長めに保ちながら体の力を抜いていく流派のため、精神的な疲労をゆるめる習慣として取り入れやすいでしょう。
ストレスや緊張が原因で肩こりや腰の張りを感じている場合も、筋肉をゆるめて血流を促すヨガのアプローチが合いやすいです。
詳しくは『ヨガで腰痛・肩こりをセルフケアする方法~プロップス活用の基本と選び方』もご覧ください。
体幹と姿勢を整えたい人に向くピラティス
体を引き締めたい方、ぽっこりお腹や猫背が気になる方には、ピラティスが向いています。
ピラティスはインナーマッスルを集中的に鍛えるため、ウエストラインの引き締まりや立ち姿の変化を実感しやすい方が多くいます。
筋肉を大きくするのではなく内側から支える力を養う運動のため、しなやかで引き締まった体型を目指しやすく、日常動作の消費効率アップにもつながりやすいです。
筋力の低下や骨格の歪みが原因で腰痛や肩こりを感じている場合は、背骨を一つずつ動かすような動作で固まった部分をほぐし、弱っている部分を補強できるピラティスが効果的です。
詳しくは『ピラティスで腰痛を改善できる?基本動作と日常ケアの方法』もご覧ください。
整体との違いから考える選び方
「ヨガと整体、どちらに行くべきか」で迷う方もおられます。
ヨガとピラティスは自分の体を自分で動かして整えるセルフケアであるのに対し、整体は施術者の手技によって骨格や筋肉の状態を整えてもらうため、アプローチが異なります。
以下に主な違いをまとめましたのでご覧ください。
| 比較項目 | ヨガ・ピラティス | 整体 |
|---|---|---|
| 体へのアプローチ | 自分の力で動いて整える | 施術者の手技で整えてもらう |
| 効果が続く期間 | 練習を継続するほど積み重なりやすい | 施術直後の変化を感じやすい |
| 向いている場合 | 自分で体を動かす習慣をつけたい場合 | 今ある不調を短期間でゆるめたい場合 |
検討の目安が決まったら、次の行動を選べます。
痛みや不調がすでにある場合は整体で状態を整えたうえで、再発を防ぐ土台づくりとしてヨガやピラティスを取り入れる組み合わせ方もあります。
比較表で見るヨガとピラティスの違い

ここでは、目的・呼吸法・動きの比較表と、それぞれのメリット・デメリットを整理してご紹介します。
目的・呼吸法・動きの比較
ヨガとピラティスの違いを、以下の比較表にまとめましたのでご覧ください。
| 比較項目 | ヨガ | ピラティス |
|---|---|---|
| 主な目的 | 心身の調和 | 身体機能の改善 |
| 呼吸法 | 腹式呼吸 | 胸式呼吸 |
| 動きの特徴 | 静止してポーズを保つ | 動作を正確に繰り返す |
| 主に使う道具 | マット・プロップス | マット・専用マシン |
呼吸・動き・道具のいずれも対照的なため、この4項目を押さえておくと、レッスン見学や体験の際にも違いを見分けやすくなります。
ヨガとピラティスのメリットとデメリット
ヨガのメリットは、リラックスしながら柔軟性を高められる点と、自宅でも手軽に始められる点です。
マット一枚あれば取り組めるため、初期費用を抑えたい方や、スキマ時間に体を動かしたい方と相性が良いでしょう。
デメリットは、ポーズによっては柔軟性が求められ、体が硬いうちはつらく感じることや、心身への働きかけが中心のため、姿勢や体幹の変化を実感するまでに時間がかかりやすい点です。
体が硬いことを理由に始めるのをためらう方もいますが、ブロックやベルトなどのプロップスを使えば無理のない姿勢からでも練習を続けやすくなります。
また、ポーズを1つ覚えれば朝の5分や寝る前の10分など、生活リズムに合わせて取り入れられる自由度の高さも、続けやすさにつながっています。
ピラティスのメリットとデメリット
ピラティスのメリットは、姿勢矯正の効果を比較的早く実感しやすい点と、体の使い方を整えやすい点です。
インナーマッスルを意識しながら動くため、日常の立ち姿や歩き方にも変化が表れやすいです。
デメリットは、正確なフォームが求められるため、独学だと崩れたフォームのまま続けてしまい、本来の効果を実感しにくくなることです。
マシンピラティスを利用する場合は、マットピラティスに比べて費用が上がりやすい点も考慮しておきましょう。
フォームの崩れが気になる場合は、最初の数回だけでもインストラクターのいるレッスンで体の使い方を確認すると、その後の練習の質が変わります。
始める前に確認したいQ&A

ここまでヨガとピラティスの違いを見てきました。
ここでは、初心者からよく寄せられる質問をQ&A形式でご紹介します。
初心者はどちらから始めるべきか
心を落ち着けたい方はヨガから、体を引き締めたい方はピラティスから始めるのがおすすめです。
どちらも初めての方に向けたクラスが用意されていることが多く、基礎的な動きから無理なく学べる点は共通しています。
ヨガは動きがゆっくりで休憩も取りやすいため、運動の習慣がない方でも親しみやすいですが、柔軟性が必要なポーズでは体が硬い方がつらく感じることもあるでしょう。
ピラティスは正確なフォームを覚えるまで難しく感じることもありますが、マシンピラティスであれば動きを補助してもらえるため、初めてでも狙った部位に働きかけやすいです。
どちらか一つに決められないときは、両方の体験レッスンに参加し、呼吸のしやすさやインストラクターとの相性を比べてから選ぶこともできます。
効果を実感するまでの期間
効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、姿勢や呼吸の変化は2〜4週間、体の引き締まりやラインの変化は8〜12週間ほど継続してから実感する方が多いです。
ピラティスの創始者は「10回の練習で気分が良くなり、20回で見た目が変わり、30回で体のすべてが変わる」という言葉を残したと伝えられています。
回数はあくまで目安であり、体質や練習の頻度によって感じ方は変わりますが、続けるほど変化に気づきやすくなる点は共通しています。
継続のコツは、体重だけで判断せず、疲れにくさや睡眠の質、姿勢を写した写真など、複数の変化を意識することです。
また、週3回を目指して挫折するよりも、週1回を確実に続けるほうが結果につながりやすいため、レッスンの曜日を固定するなど習慣化の工夫を取り入れてみてください。
安全に始めるための注意点
妊娠中や重度の腰痛・頸部痛、しびれ、手術直後、高血圧などがある場合は、事前の注意が必要です。
例えば腰椎椎間板ヘルニアなどの持病がある場合、ヨガの深い前屈やピラティスの体を丸める動作が負担になることがあります。
高血圧の方は、頭を心臓より低くする逆転のポーズを控えるなど、症状に応じた配慮が必要です。
不安がある場合は必ず医師にご相談のうえで、レッスン前にインストラクターへ自分の体の状態を伝えておくと安心です。
また、いきなり深いストレッチや高負荷の動きに入らず、呼吸を整えながら背骨や股関節、肩甲骨まわりを小さく動かして体温を上げてから始めると、体への負担を抑えやすくなります。
自分に合う練習を選ぶ
ヨガとピラティスは、目的も呼吸法も動きの質も異なり、どちらが優れているというものではありません。
心を落ち着けたい方にはヨガが、体幹や姿勢を整えたい方にはピラティスが、それぞれ向いています。
整体との違いも踏まえながら、ご自身の目的や体の状態に合わせて選ぶことが、後悔のない一歩につながります。
どちらを選んだ場合も、心地よく続けられる道具を手元に置いておくことが、練習を長く続ける支えになります。
オーエイチラボでは、初心者の方でも扱いやすいヨガマットやプロップスを全国に配送しており、スタジオやインストラクターの方からのご相談もお気軽にお受けしています。
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監修
全米ヨガアライアンス RYT200 / FTPマットピラティスインストラクター
FRPファンクショナルローラーピラティス / ブリスベイビーマタニティーヨガインストラクター
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